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横浜地方裁判所 昭和55年(わ)2012号 判決 1981年2月24日

本店所在地

神奈川県横浜市中区伊勢佐木町二丁目八五番地

代表者住居

同市南区別所二丁目五番九号

有限会社三洋観光開発

右代表者代表取締役金田時男こと

金時鐘

本店所在地

神奈川県横浜市中区伊勢佐木町二丁目八五番地

代表者住居

同市緑区榎が丘四五番地四〇

明栄観光開発有限会社

右代表者代表取締役

関本和敏

本店所在地

神奈川県横浜市中区伊勢佐木町二丁目八五番地

代表者住居

新潟県新潟市桜井通三丁目一三番地三四

有限会社萬善物産

右代表者代表取締役西原敏光こと

韓在喆

国籍

韓国

住居

神奈川県横浜市南区別所二丁目五番九号

会社役員

金田時男こと

金時鐘

一九三七年四月一六日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官渡辺秀雄出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。

主文

一、被告人有限会社三洋観光開発を罰金一三、〇〇〇、〇〇〇円に処する。

二、被告人明栄観光開発有限会社を罰金九、〇〇〇、〇〇〇円に処する。

三、被告人有限会社萬善物産を罰金一七、〇〇〇、〇〇〇円に処する。

四(一)  被告人金時鐘を懲役一年六月に処する。

(二)  この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社三洋観光開発(以下被告人三洋観光開発という)は、神奈川県横浜市中区伊勢佐木町二丁目八五番地(昭和五五年四月一〇日までは同区弁天通四丁目六四番地)に本店を置き、特殊浴場経営を目的とする資本金三〇〇万円の法人であり主として「トルコ・献上」を経営していたもの、被告人明栄観光開発有限会社(以下被告人明栄観光開発という)は、同市中区伊勢佐木町二丁目八五番地(昭和五五年四月九日までは同区箕沢七六番地)に本店を置き、特殊浴場経営を目的とする資本金一〇〇万円の法人であり主として「トルコ・歌麿」を経営していたもの、被告人有限会社萬善物産(以下被告人萬善物産という)は、同市中区伊勢佐木町二丁目八五番地(昭和五五年四月一一日までは同区寿町三丁目一〇番一三号)に本店を置き、特殊浴場及びパチンコ遊戯場の経営を目的とする資本金三〇〇万円の法人であり主として「トルコ・アラビアンナイト」(同五四年六月一三日店名をトルコ・ソウルと変更)、「トルコ・エアポート」、「パチンコ店本陣」を経営していたもの、被告人金田時男こと金時鐘は、被告人三洋観光開発の代表取締役として同会社の業務を統括するとともに、被告人明栄観光開発・同萬善物産の実質上の代表者として右二社の業務全般を統括していたものであるが、被告人金時鐘は

第一  被告人三洋観光開発の業務に関し、法人税を免れようと企て、入浴料等収入の一部を除外し、簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ

一、昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が四六、五二六、七五六円であったのにもかかわらず、昭和五三年二月二八日神奈川県横浜市中区山下町三七番地九所在の所轄横浜中税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三七〇、七八九円で、これに対する法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一七、五一三、五〇〇円と右申告税額の差額一七、五一三、五〇〇円を免れ

二、昭和五三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が六二、三二九、四八三円であったのにもかかわらず、法人税の申告期限である昭和五四年二月二八日までに前記横浜中税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における実際の所得金額に対する正規の法人税額二四、〇九一、六〇〇円を免れ

第二  被告人明栄観光開発の業務に関し、法人税を免れようと企て、入浴料等収入の一部を除外し、簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ

一、昭和五二年三月二九日から昭和五三年一月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が三五、七三〇、七七八円であったのにもかかわらず、昭和五三年三月三一日前記横浜中税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が欠損一一五、八九四円で納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一三、五二二、〇〇〇円と右申告税額との差額一三、五二二、〇〇〇円を免れ

二、昭和五三年二月一日から昭和五四年一月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が三七、九四九、一九七円であったのにもかかわらず、法人税の申告期限である昭和五四年三月三一日までに前記横浜中税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における実際の所得金額に対する正規の法人税額一四、三三九、六〇〇円を免れ

第三  被告人萬善物産の業務に関し、法人税を免れようと企て、入浴料等収入・パチンコ収入の一部を除外し、簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿したうえ

一、昭和五二年六月一八日から昭和五三年五月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が四四、四九五、八八四円であったのにもかかわらず、法人税の申告期限である昭和五三年七月三一日までに前記横浜中税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における実際の所得金額に対する正規の法人税額一六、九五八、〇〇〇円を免れ

二、昭和五三年六月一日から昭和五四年五月三一日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が九六、四八九、六二九円であったのにもかかわらず、法人税の申告期限である昭和五四年七月三一日までに前記横浜中税務署長に対し、法人税確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における実際の所得金額に対する正規の法人税額三七、七五五、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全般につき

一、被告人金田時男こと金田鐘の当公判廷における供述

一、被告人金田時男こと金時鐘の大蔵事務官に対する質問てん末書三通および検察官に対する右供述調書三通

一、杉山シズヱの検察官に対する供述調書三通

一、西原敏光こと韓在喆の大蔵事務官に対する質問てん末書六通(昭和五四年一〇月三〇日付、同年一一月三〇日付、同年一二月一八日付、同五五年二月六日付、同月二六日付八枚のもの、同年三月四日付)および検察官に対する供述調書

一、長谷川岩男の検察官に対する供述調書二通

一、野山実の取引内容照会に対する回答書

一、山村正美作取の取引状況に関する証明書四通

一、森本恒作成の取引内容照会に対する回答書

一、加藤泰彦の取引内容照会に対する回答書

一、濱川憲男の取引内容照会に対する回答書

一、岡崎映三作成の取引状況に関する証明書二通

一、金世譲の取引状況に関する証明書

判示冒頭の事実につき

一、横浜地方法務局登記官作成の登記簿謄本三通

判示第一の事実につき

一、押収してある有限会社三洋観光開発の確定申告書二通(昭和五六年押第四七号の三二、同三三)

一、大蔵事務官上村力夫作成の脱税額計算書二通、同売上調査書、同給料調査書

一、金杉行雄の大蔵事務官に対する質問てん末書三通

一、押収してあるメンバーリスト一袋(前同号の三八)

一、同入浴券四袋(同号の四二)

一、同日計表および入浴券一箱(同号の四三)

一、同売上帳一綴(同号の四四)

判示第二の事実につき

一、押収してある明栄観光開発有限会社の確定申告書等綴一綴(昭和五六年押第四七号の二四)

一、同明栄観光開発有限会社の確定申告書一袋(同号の三五)

一、大蔵事務官田中登作成の脱税額計算書二通、同人浴料収入調査書二通、同給料調査書二通

一、西原敏光こと韓在喆の大蔵事務官に対する質問てん末書(昭和五五年二月二六日付七枚のもの)

一、押収してある入浴券等一箱(前同号の四八)

一、同売上帳二袋(同号の八一、八二)

一、同売上帳写(同号の八四)

判示第三の事実につき

一、押収してある有限会社萬善物産の確定申告書一袋(昭和五六年押第四七号の三六)

一、同金田時男の確定申告書等一袋(同号の三七)

一、大蔵事務官中村健二郎作成の脱税額計算書二通、同入浴料収入調査書四通(トルコ・エアーポート分二通およびトルコ・アラビアンナイト分二通)

一、押収してあるメンバーリスト二袋(前同号の五〇)

(法令の適用)

一、被告人金時鐘について

被告人の判示所為のうち、第一の一および第二の一の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に、同第一の二および第二の二ならびに同第三の一、二の各所為はいずれも同法一五九条一項、七四条一項二号に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により、犯罪の最も重い判示第三の二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年六月に処し、同法二五条一項一号を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

二、被告人三洋観光開発、同明栄観光開発、同萬善物産について

被告人三洋観光開発の判示第一の一および同明栄観光開発の判示第二の一の各所為はそれぞれ法人税法一五九条一項、一六四条一項に、右三洋観光開発の判示第一の二および右明栄観光開発の判示第二の二ならびに被告人萬善物産の判示第三の一、二の各所為はそれぞれ同法一五九条一項、一六四条一項、七四条一項二号に該当するが、右第一の一と二、第二の一と二、第三の一と二はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、それぞれ法人税法一五九条二項、刑法四八条二項により、それぞれ各罪所定の罰金額の合算額の範囲内で被告人三洋観光開発を罰金一三、〇〇〇、〇〇〇円、同明栄観光開発を罰金九、〇〇〇、〇〇〇円、同萬善物産を罰金一七、〇〇〇、〇〇〇円に各処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 蜂谷尚久)

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